交通事故に関する保険－人身傷害保険など

交通事故に遭い，怪我をした場合，使用できる保険は複数あります。

伊勢にお住まいの方の中にも，交通事故に遭い，どのような保険を使用するべきか迷われている方もいらっしゃると思います。

被害者側に立つ場合には，相手方の任意保険を使用するのが一般的です。

相手方が任意保険に加入していない場合には，加害者側の自賠責保険を使用することもあります。

いわゆる被害者請求と呼ばれるものです。

相手方が任意保険に加入していない場合や，相手方のいない自損事故の場合には，自分の加入している任意保険会社の保険を使用することもあります。

事故の場合に使用できる自分の加入している任意保険会社の保険には，搭乗者保険や人身傷害保険などがあります。

⑴　搭乗者保険

搭乗者傷害保険は，通常，一定の要件を満たした場合に定額が支払われます。

⑵　人身傷害保険

これに対し，人身傷害保険は，治療費，交通費，休業損害，慰謝料，後遺障害慰謝料，逸失利益など，傷害，後遺障害に関するほぼすべての費目が支払対象となっており，定額ではなく，実際に支出した金額や，一定の計算方法に従って算出された額が支払われます。

そのため，治療費等の補償をしっかりと受けるためには，通常，人身傷害保険を使用します。

ただし，あくまでも「人身」とされているとおり，人身傷害保険は，身体の傷害に関するもののみが対象となっており，車両損害等の物的損害は対象外となっています。

人身傷害保険は，任意保険に加入されているほとんどの方が加入しているため，ほとんどの方が使用できる保険です。

加入されていない伊勢の方には，ぜひとも加入をおすすめしておきたい保険です。

人身傷害保険を使用する場合，あらかじめ認識しておかなければならない点は，賠償金の算定方法と人身傷害保険金の算定方法が異なるという点です。

賠償金の算定は，基本的には，賠償金の算定基準である，いわゆる自賠責保険基準や弁護士・裁判所基準と呼ばれる基準によって行われます。

弁護士・裁判所基準は，地域によって使用される基準が多少異なることはありますが，通常自賠責基準よりも高額のものとなります。

これに対し，人身傷害保険は，約款に規定された基準によって算定されます。

１２０万円という上限はありませんが，自賠責基準とほぼ同程度か，ケースによっては自賠責基準を下回る基準によって算定されることもあります。

相手方がある事故の場合には，人身傷害保険により保険金の支払いを受けたうえ，さらに，相手方に対し，損害賠償請求をすることも可能です。

人身傷害保険を使用したうえで相手方に賠償請求をする場合には，計算方法や，代位の問題など，複雑かつ難解な法的問題を伴うことが多くなります。

少しでも迷われた方は，弁護士等の専門家にご相談されることをお勧めいたします。