交通事故と登録手続関係費
1 登録手続関係費が認められる場合
交通事故に遭い、車両が損傷し、修理不可能の場合は、買い替えが必要となります。
また、物理的には修理が可能であるとしても、修理費が時価額(中古車としての価格)を上回る場合(いわゆる経済的全損の場合)も、買い替えを選択せざるを得ないケースが多いです。
交通事故に遭い、買替相当な場合で、被害者が実際に買替えを行った場合は、車両の時価額に加え、登録手続関係費を請求できる場合があります。
このことを知らず、車両の時価額のみで物損の示談をしてしまう交通事故の被害者が非常に多いのですが、弁護士にご相談いただければ、登録手続関係費を請求できる場合があることをアドバイスいたします。
2 登録手続関係費の内容
どのような内容が、この登録手続関係費に含まれるのでしょうか。
一般的には、買替えのために必要な登録費用、車庫証明手数料、納車費用、廃車費用のうち法定手数料及び相当額のディーラー報酬部分並びに同程度の中古車取得に要する自動車取得税、事故に遭った車両の未経過期間の重量税等が挙げられます。
他方、事故車両の自賠責保険料、買替後の車両の自賠責保険料、自動車重量税、及び、自賠責保険料は認められないとされています。
ここで、注意すべきなのは、上記費用は業者によって異なる場合が多く、費用があまりに高額になる場合には、相当額に限定される場合があります。
3 過去の裁判例
過去の裁判例を見ると、上記の他にも以下のような費用を認めた例があります。
① 車検直後の全損事故について、車検整備に支出した費用(16万750 1円)はこれに見合う使用ができなかったものとして損害と認めた例(横浜地判平6.4.14)、
② 大型貨物自動車について、代替車用の購入にあたり、車庫証明手続費用 の他、看板文字代、ダンプ標識ナンバー申請手続費用、ダンプ自動計測定費用などを認めた例(東京地判平8.6.19)
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