過払い金請求と生活保護
1 生活保護受給中でも過払い金返還請求できます
生活保護を受給していても、過払い金返還請求はできます。
過払い金を請求することは権利ですので、生活保護を受給しているからといって、その権利行使を妨げられることはありません。
ただ、生活保護を受給している場合の過払い金返還請求には、注意が必要な点があります。
2 注意点
⑴ 不正受給との関係
ア 「収入」に該当
過払い金は、過去に自分が払いすぎた利息分の返還を求めるものですので、自分に戻ってきたお金、自由に使えるお金と考えてしまうかもしれません。
生活保護を受けていなければ、そう考えても何ら問題はありません。
ただ、生活保護の制度上では、受領した過払い金は「収入」とみなされますので注意が必要です。
イ 正しく届出を
上記のように、「収入」に該当しますので、収入に変化があったとして、速やかに役所に届ける義務があります。
もし、これを怠ったり、返還された金額を不正に低く届け出るなどしてしまうと、不正受給とみなされ、過払い金は返還しなければなりませんし、悪質な行為と判断されれば、罰則が課されることになりかねません。
⑵ 過払い金の返還もしくは生活保護の受給停止
生活保護では、給与や預貯金などの収入と、最低生活費との差額が生活保護費として支給されます。
そのため、返還された過払い金の金額によりますが、最低生活費を上回った分は返還するか、受給停止となります。
また、上回らなかった場合でも、金額によっては、減額調整される可能性があります。
一旦生活保護の受給停止となっても、過払い金が最低生活費の金額に足りなくなった段階から再開されることが可能です。
⑶ 弁護士費用との関係
過払い金が返還され、役所に返還を要するとして、弁護士費用の支払いはどうなるのかも気になるところです。
過去のケースでは、弁護士自ら役所の担当者と連絡を取り合い(依頼者の同意のもと)、弁護士費用を差し引いた金額を収入として届出し、生活保護の継続か否かを話し合ったこともあります。
過払金返還請求にかかるリスク 過払い金返還請求において訴訟をするリスク