後遺障害併合11級の場合の損害賠償請求
1 複数の症状と後遺障害
一口に後遺障害といっても,自賠法施行令に定められている等級は多岐に渡ります。
そして,一回の交通事故で負うケガは一つとは限りません。
複数の箇所に強い痛みやしびれ,あるいは機能障害が残ってしまった場合の後遺障害の等級認定は様々なケースがあります。
しかし,複数の障害が残ってしまった場合でも,その障害ごとに慰謝料請求をするのではなく,最終的には一つの後遺障害の等級を定めることになります。
これを「併合」といいます。
「併合」は自動車損害賠償保障法施工令に第2条第1項第3号に定められていて,基本的なルールは次のとおりです。
⑴ 別表第一に規定されている後遺障害(介護を要する後遺障害)は原則として併合の対象にはなりません。
⑵ 別表第二に定める5級以上の等級に該当する後遺障害が二つ以上存在する場合は,最も重い等級の3級上位の等級を認定します。(同号ロ)
⑶ 別表第二に定める8級以上の等級に該当する後遺障害が二つ以上存在する場合は,最も重い等級の2級上位の等級を認定します。(同号ハ)
⑷ 別表第二に定める13級以上の等級に該当する後遺障害が二つ以上存在する場合は,最も重い等級の1級上位の等級を認定します。(同号ニ)
すなわち,12級に該当する後遺障害と,12級または13級に該当する後遺障害が存在する場合には,それらが「併合」となり,11級の後遺障害が認定されることになります。
ただし,複数の後遺障害の症状が認められるからといって,それが上位の等級で当然予定されている障害であったり,同系統の部位の障害である場合には「併合」がなされないこともあるので,注意が必要です。
2 後遺障害11級が認定される場合の損害賠償
後遺障害の等級として11級が認定された場合には,後遺症慰謝料として裁判の基準で420万円が目安となります。
また,後遺障害による労働能力の喪失率として,個別の症状にもよりますが,多くの裁判では20%程度の労働能力喪失が認められることになります。
喪失期間は個別の年齢や症状等によっても異なりますが,仮に500万円の年収を事故前年に得ていた方であれば,年間100万円の逸失利益が認められることになり,労働能力喪失期間が10年であれば100万円×7.7217(ライプニッツ係数)で772万円ほどが逸失利益として認められることになります。
他にも,通院にかかった治療費や,交通費,通院の慰謝料等も損害として認められます。
3 後遺障害について弁護士への依頼
複数の後遺障害が残ってしまった場合,各々の症状について適切な認定を受けることも必要となりますが,それらの症状が併合されるのかどうかについても事前に検討することが欠かせません。
適切な見通しの下に,治療を継続し,しっかりとした損害賠償請求をするためには,専門的な知見を持った弁護士に依頼されることをお勧めします。
弁護士法人心では,交通事故の損害賠償請求を得意とする弁護士の他,後遺障害申請のプロセスに精通した専属のスタッフが適切な後遺障害認定のためのお手伝いをします。
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