弁護士費用について
1 弁護士費用はどうやってきまるのか(原則)
一般的に、弁護士費用については、現在、一律の基準はありません。
そのため、それぞれの弁護士や法律事務所が報酬基準を定めて、その基準に従って、依頼者と協議して決めることとなります。
2 債務整理における報酬基準
上記のとおり、基本的には、弁護士費用における一律の基準はありません。
しかしながら、債務整理案件について、過去のケースなどに鑑み、日本弁護士連合会は、一定範囲の債務整理事件における弁護士報酬の上限を定めるなどのルール「債務整理事件処理の規律を定める規程」を定めました。
3 弁護士費用の内訳
弁護士費用には、基本的には、①着手金、②報酬金、③手数料、④実費などがあります。
このうち、①着手金とは、成功・不成功のある事件について、結果のいかんにかかわらず受任時に受領する報酬のことを言います。
②報酬金は、成功・不成功のある事件について、成功の程度に応じて受ける報酬のことを言います。
③手数料とは、成功・不成功がない事務処理の報酬を言います。
4 日本弁護士連合会の規程によると…
⑴ 着手金について
上限規制はありません。
⑵ 報酬金について
以下のA~Cの報酬金以外の受領は禁止されています。
A 解決報酬金
1社あたり2万円以下が原則。ただし、商工ローンは5万円以下。
B 減額報酬金
減額分の10%以下
C 過払金報酬金
訴訟によらない場合、回収額の20%以下。
訴訟による場合、回収額の25%以下。
5 当法人の弁護士費用
詳しくは、弁護士費用のページを見ていただければと思いますが、少し抜粋します。
完済している金融業者に対する過払金返還請求の場合、着手金は原則として0円、報酬金は原則として回収額の18%(税別)としております。
6 ホームページなどで比較してみるのもよいかと思います。
すでに述べましたとおり、弁護士費用は一律に決まっていません。
そこで、ご相談される前に、さまざまな法律事務所のホームページを比較してみたり、相談時に費用を聞き比較してみるのも良いかもしれません。
事務所によっては、上記の日本弁護士連合会の規程に沿わない報酬基準を定めているところもありますので、ご注意ください。
何も資料が残っていない場合でも過払い金返還請求は可能
1 支払い明細書を捨ててしまった場合
「以前、借入と返済を繰り返していたが、明細書等はすべて捨ててしまって手元にないから、過払い金の返還請求をあきらめている」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
過払い金に関する相談を受けていると、「何も手元にないので、無理ですよね?」と聞かれることがあります。
結論から言えば、明細書等の書類がお手元になくても、過払い金返還請求はできますのでご安心ください。
2 資料がなくても大丈夫
過払い金が発生しているか否か、発生している場合はいくら発生しているかを正確に計算するためには、取引明細などの書類が必要となります。
金融業者は帳簿を保管しておかなければいけませんので、金融業者が取引明細を保管していないということはないはずです。
そこで、どこの金融業者から借入れを行っていたか覚えていれば、当該業者に取引履歴を開示してもらい、過払い金の有無などを計算することができるのです。
そのため、自分で取引明細を保管していなくても、過払い金の請求は可能です。
3 金融業者名も忘れてしまった場合
どこの金融業者から借入れを行っていたか覚えていなくても、信用情報機関に問い合わせることで、どこの金融業者から借入れをしていたのか把握できます。
なお、この信用情報機関に対する記録の開示請求は、個人情報の関係で、基本的にはご本人様しか取り寄せができません。
弁護士であっても取り寄せができませんので、ご了承ください。
4 資料があった方が良い場合も
経験上少ないですが、業者によっては一部しか取引履歴を開示しないこともあります。
そのような場合、手元に資料がある方が、発生している過払い金を正確に計算することができます。
また、過払い金の返還を求めて訴訟となった場合、金銭の支払いを求める側に立証責任がありますので、開示がなされなかった期間においても取引があったと主張する場合、取引の存在について立証する必要があります。
その際、明細書等の資料があれば、立証に役立つことは言うまでもありません。
5 あきらめずにご相談を
以上のように、お手元に明細書等が残っていなくても、過払い金の返還を求めることはできます。
過去に消費者金融等から借入れがあり、過払い金が発生しているかもしれないと思われた方は、お手持ちに資料がなくとも、お気軽に当法人までお問い合わせください。
過払い金と貸金業者の取引履歴の開示義務
1 取引履歴の開示請求
過払い金返還請求する場合,借入れと返済の正確な年月日と額を把握するために貸金業者から取引履歴(借入れと返済の年月日と額が記載された一覧表)を入手する必要があります。
ご本人が取引履歴を入手しようとする場合,貸金業者に文書を郵送して請求する,電話で請求する等の方法があります。
2 貸金業者の取引履歴の開示義務
⑴ 判例
最高裁平成17年7月19日判決は,「貸金業者は,債務者から取引履歴の開示を求められた場合には,その開示要求が濫用にわたると認められるなど特段の事情のない限り,貸金業法の適用を受ける金銭消費貸借契約の付随義務として,信義則上,保存している業務帳簿(保存期間を経過して保存しているものを含む。)に基づいて取引履歴を開示すべき義務を負う」と判示し,貸金業者に取引履歴の開示義務があることを認めました。
⑵ 法改正
この判決を受けて法律が改正されました。
改正貸金業法19条の2では,取引履歴の開示請求を受けた貸金業者は,当該請求が,請求者の権利の行使に関する調査を目的とするものでないことが明らかであるときを除き,当該請求を拒むことができないと定めており,貸金業者が原則として取引履歴の開示義務を負っていることが分かります。
3 貸金業者が取引履歴の開示義務に違反したとき
内閣総理大臣又は都道府県知事は,開示義務に違反した貸金業者に対し,貸金業の登録の取り消しや一年以内の業務の停止を命じることができます(貸金業法24条の6の2の4第1項)。
また,開示義務に違反した貸金業者には,百万円以下の罰金が科されます(貸金業法49条6号)。
4 開示を遅滞する貸金業者への対応
このように,取引履歴の開示義務に違反した貸金業者は,重い処分を受けるため,通常,貸金業者が開示請求に対して開示を拒否するとの回答をすることは考えにくいです。
もっとも,貸金業者が開示すると回答しながらも,長期間開示しない場合があります。
このような場合は,残っている通帳の履歴や振込明細,記憶に基づいた取引の再現等によって,過払い金額を確定させて裁判をするのが一つの方法です。
裁判手続をすすめる中で,貸金業者が取引履歴を開示することもあります。
弁護士法人心では,伊勢市にお住まいの方からも多くの過払い金返還請求のご相談を受けております。
貸金業者に対して取引履歴を開示するよう求めたのに,なかなか取引履歴が開示されない場合は,弁護士法人心にご相談ください。